アステアとは直接関係ないが、「Smooth Criminal」の源流として、『キャビン・イン・ザ・スカイ(Cabin In The Sky)』(1943/MGM)に登場するナンバー「 Shine 」を紹介しておきたい。 『キャビン・イン・ザ・スカイ』は、これまたヴィンセント・ミネリ監督による、リナ・ホーン主演のオール黒人キャスト映画。 「Shine」はタップ・ダンサーのジョン・バブルズが酒場で繰り広げるナンバーで、これが「Smooth Criminal」の'40年代版のような趣を呈していて実に面白いのである。
ジョン・ バブルズ John Bubbles(本名 John William Sublett。1902~86)は、ピアノ担当のバック Buck(本名 Ford Lee Washington。1903~55)と共にバック&バブルズというコンビで活躍した人物。 「Shine」場面にも相棒のバック(写真左の左端でピアノを弾いている男)と一緒に出演している。この映画ではタップを踏んでいないが、バブルズは“リ ズム・タップ”と呼ばれる現代のタップ・ダンスの基本スタイルを作った偉人。アステアも彼からの影響を公言していた。マイケルの相棒だったチンパンジーの 名前は、このジョン・バブルズに由来しているような気がして仕方ないのだが、残念ながら私は真相を知らない。